蓜島 三弥3年 蓜島 三弥

Ⅰ.不動産鑑定士について

不動産鑑定士は、その名のとおり不動産の鑑定評価は勿論 のこと、不動産調査、不動産利用、不動産取引や投資に関する 相談に応じる等、不動産に関する様々な業務に携わっていま す。その中で「不動産の鑑定評価」は不動産鑑定士にのみ認め られている独占業務です。不動産の鑑定評価として、地価公 示や地価調査、路線価等は全て不動産鑑定士が関わっており、 公的仕事が多いことから不動産鑑定士は景気に左右されない 安定した職業ともいわれています。そして、不動産鑑定士は 国家資格であるため、不動産鑑定士試験という国家試験に合格することが必須条件です。

Ⅱ.不動産鑑定士試験について

不動産鑑定士試験は司法試験・公認会計士試験と並んで三大難関国家試験と呼ばれて おり、一次試験である短答式試験と二次試験である論文式試験によって構成されていま す。短答式試験は33%程度、論文式試験は14%程度の合格率で推移しており、最終的な不 動産鑑定士試験の合格率は5%程度です(※合格率の推移は図1の通り)。 短答式試験は毎年5月に行われ、内容としては5択のマークシート方式で、「行政法規 (40問)」・「鑑定評価に関する理論(40問)」、各 2時間となっています。合格するには概ね 7 割が必要です。この短答式試験で問われる行政法規に関しては、半分程度は宅地建物取 引士試験で問われる内容と重複しているため、1 年生で宅地建物取引士に合格した学生は 勉強に取り組みやすいと思います。そして、短答式試験に合格すると短答式試験の合格年 を含めて3 年間論文式試験を受験することができるようになります。 論文式試験は出題範囲が広く記述式であること等から、不動産鑑定士試験を難関国家試 験と言わしめるものといえます。この論文式試験は毎年8 月に行われ、内容としては教養 科目として「民法」「経済学」「会計学」、専門科目として短答式でも問われる「不動産の鑑 定評価に関する理論」が試験範囲となっています。論文式試験は3 日間連続で行われ、 1 日目午前「民法」午後「経済学」 、2日目午前「会計学」午後「不動産の鑑定評価に関する理論・ 論文1」 、3 日目午前「不動産の鑑定評価に関する理論・論文2」午後「不動産の鑑定評価 に関する理論・演習」 、各2 時間ずつ問題を解くことになり、合格するためには平均的に 概ね6 割が必要です。また、各科目に足切りが存在しており、 3 ~4 割を下回る科目が存 在するとそれだけで不合格になります。

Ⅲ.自身の不動産鑑定士試験について

はじめに、自身の学生生活における国家試験を振り返ると、1 年生時には宅地建物取引士試験・管理業務主任者試験に合格、2年生時に不動産鑑定士試験・短答式試験に合格し、 3年生時に不動産鑑定士試験・論文式試験に合格しました。

1.短答式試験について

短答式試験は1年生の2月終わり頃から取り組みました。不動産鑑定士試験の概要で 記述した通り、「行政法規」については宅地建物取引士試験と重複する点が多々あるので 私も苦ではありませんでしたが、「不動産の鑑定評価に関する理論」に関しては、ほぼ初め て学ぶものでしたので一苦労でした。ですが、マークシート方式であることから、過去問 を理解しながら解いていれば、まず落ちることはない試験であると感じました。

2.論文式試験について

論文式試験を独学で取り組むのは効率が悪いと感じたので、資格試験の予備校に2年生 の6月頃から通いました。そして、3年生の8月に論文式試験を受験し、結果は全国8位 で合格しました。その上で、この論文式試験に短期で合格するためには、各科目で何点取 るかをあらかじめ決めておくことが大切であると感じました。 次に、勉強についてですが、電車移動中の勉強(インプット)が8割、机に向かっての勉 強(アウトプット)が2割でした。インプットについては、繰り返しテキスト等を読み、ス ラスラと暗証できるレベルまで暗記しました。アウトプットについては、暗記したことを スラスラと記述できるようにする作業をしていました。なお、勉強割合や勉強方法は人そ れぞれですので、参考程度に留めてください。

3.これから不動産鑑定士を目指す人たちへ

厳しいことをいうと、短答式試験に一発で合格できないような意志では、その後、短答 式試験に合格したとしても、論文式試験に合格するのは大変困難なものになると思いま す。それほど短答式試験と論文式試験では雲泥の差があります。ですが、「不動産鑑定士に 必ずなる」という強い意志があれば、短期合格も不可能ではないです。 明海大学不動産学部では、不動産鑑定士を目指す学生たちへ厚い支援が行われていま す。また、私も時間が許される限り後輩たちへの支援を行っていきたいと考えています。 これから不動産鑑定士を目指す学生たちへ、道のりは長く険しいものとなりますが、不動 産鑑定士を目指すと決めた初心を忘れず勉学に励んでください。

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