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蓜島 三弥(14期)

Ⅰ.実務修習先について

不動産鑑定士試験に合格した後、不動産鑑定士として登録するためには実務修習を受け、修了考査という試験に合格する必要があります。実務修習は勤め先の不動産鑑定業者で受ける人が大半ですが、学生の間に実務修習を受け、修了考査に合格したいという気持ちから、学生でも実務修習が受けられる明海大学不動産研究センターで実務修習を受けました。

Ⅱ.実務修習について

実務修習は約1~2年間で13類型の不動産の鑑定評価書を作成し、不動産鑑定士協会連合会に提出します。また、実務修習期間中に基本演習という名目で4類型の不動産の鑑定評価書を作成し、不動産鑑定士協会連合会に提出することになります。つまり、最終的には実務修習期間において、合計17類型の不動産の鑑定評価書を作成することになります。

明海大学不動産研究センターの指導鑑定士である市川先生より実務修習を受け、不動産業界自体を全く知らない状態から、不動産鑑定士として必要な知識や基礎を形作ることが出来たと思います。また、同期の実務修習生の方々は様々な分野の一流企業に勤めている方が多く、このような方々と実務修習を通じて交流できたことで、不動産のみならず幅広い知識を学ぶことができたと実感しています。

Ⅲ.修了考査について

修了考査は記述考査と口述考査で構成されています。記述考査では、マークシート方式の問題が約15問・論文方式の問題が大きく2問出題され、マークシート方式・論文方式の両方を試験時間である2時間で全て解くことになります。口述考査では、実務修習で提出した13類型の不動産の中から一つが選ばれ、その不動産の鑑定評価書に基づいて面接が行われます。

記述考査を受けた感想として、マークシート方式の問題は重箱の隅をつつくような肢が多いため、細かい法知識や鑑定知識が必要となる印象が強いです。具体的に一つ挙げると、道路斜線制限の計算問題で、斜線の勾配・後退による緩和・壁厚との関係に加え、各用途地域の容積率による適用距離を正確に把握していなければ解くことができない問題がありました。これに対し、論文方式の問題は鑑定評価基準と実務修習で学ぶ実務的な知識で解くことが出来る問題なので、マークシート方式よりも比較的易しい問題です。記述考査の過去問は不動産鑑定士協会連合会のHPにて確認できるので、興味のある方は是非確認してみてください。

口述考査では、試験官3名から自分が作成し提出した鑑定評価書について質問され、それに解答していくという形で行われます。問われる質問は、対象不動産の表示や同一需給圏・近隣地域の判定理由等の基本的な内容から、価格形成要因を各手法のどこで反映させたか・各利回りの査定根拠等の細かい内容まで多岐にわたります。質問内容を聞くと難しいように感じますが、実務修習で自分が作成した鑑定評価書について質問されるので、手を抜かず細かい部分まで意識して鑑定評価書を作成すれば、大変な思いをせずに口述考査を迎えることができます。実際の口述考査においても、実務修習では細かい部分まで妥協せずに鑑定評価書を作成したことで、スムーズに受け答えをすることができました。

Ⅳ.最後に

明海大学不動産研究センターの実務修習では、不動産鑑定士として重要な基礎部分をしっかり学ぶことができ、副産物的に様々な業種の方々とも交流ができるので、とても有意義なものとなりました。これから実務修習を受ける方々へ、実務修習を受ける機関の選択は不動産鑑定士となるうえで重要な分岐点となるので、色々検討して決めていただければと思います。

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