2024年度 明海大学 不動産学部 学生取組成果報告集
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– 48 –指導教員:原野 啓      氏名  大橋 伊織利用する変数は以下の通り被説明変数:「高齢化率(%)」 説明変数:「第1段階分析の残差」、「山万ダミー」、「ユーカリが丘ダミー」、「宮ノ台ダミー」、「西ユーカリが丘ダミー」、「南ユーカリが丘ダミー」、「タイムダミー2007~2024(各年別)」2.3 推計モデル第一段階は以下の仮説を検証するべく、重回帰分析を行う。(利用変数については2.2参照)研究仮説:山万が開発を行っているユーカリが丘地域が、佐倉市の他のエリアよりも高く評価されている(より高い不動産需要がある)と仮定期待される結果:(1)式において、山万の開発エリアに存する住宅が消費者から評価されている場合、他の地域より取引価格が高くなると期待されるためγの符号は正になる事が期待される。第二段階では以下の仮説を検証するべく、重回帰分析を行う。(利用変数については2.2参照)研究仮説:中古住宅取引が活発に行われている場合、住民の新陳代謝が促進し、人口構成に影響を及ぼしているのではないか、と仮定。期待される結果: (2)式において、山万の開発したエリアにおいて住民の新陳代謝が活発であれば、その地域の高齢化率は他の地域よりも低くなっていることが期待される。したがって、γkの符号は負になることが期待される。3.結果3.1 第一段階・住宅価格の推計結果(表1参照)山万ダミーの係数は0.3630であり、1%水準で有意となっている。これは、佐倉市内の他のエリアに比べて山万が供給していると考えられる地域の住宅価格は、約36%高いということを示している。よって仮説の想定通り山万開発エリアは消費者から高い評価を得ているという結果になった。3.2第二段階・高齢化率の推計結果(表2参照) モデル1として開発エリア全体と他の地域の比較を行った。山万ダミーの係数は-0.0331。つまり負の値で1%水準に有意である。これは佐倉市の他の成長管理型ビジネスモデルの有効性についての実証分析千葉県佐倉市ユーカリが丘を対象とした1.はじめに1.1 研究の背景成長管理型ビジネスモデルは不動産デベロッパーである「山万株式会社」(以降山万と記載)が千葉県佐倉市ユーカリが丘で取り組む唯一無二のビジネスモデルであり、その独自性から業界の認知度が高まりつつある。先行研究に関しては、郷田(2011)や關、小林、内海(2002)などが存在しているが、これらは都市住宅学や、都市計画学に基づいた他のビジネスモデルとの比較や人口動態の研究であり、本研究に類似した内容は確認できなかった。1.2 研究の目的【成長管理型ビジネスモデルの有効性の検証】を目的とし、価格面と高齢化率面の二種について同一市内の他の地域と実証的に比較検証を行っていく。2.研究方法2.1 研究の方法本研究では山万の基本的な開発エリア範囲をユーカリが丘、西ユーカリが丘、南ユーカリが丘、宮ノ台の全範囲であると想定し、実証分析を行う。2.2 データ出典第一段階の住宅価格の調査には業プロ株式会社提供のデータ、国土交通省運営の不動産情報ライブラリの2種類を併用。分析期間:2007年~2024年対象:千葉県佐倉市の新築・中古の戸建て住宅利用変数するは以下の通り被説明変数:「価格(万円)」 説明変数:「築年数(年)」、「土地面積(㎡)」、「建物面積(㎡)」、「指定建蔽率(%)」、「指定容積率(%)」、「幅員(m)」、「最寄り駅まで徒歩で行く場合の所要時間(分)」、「最寄り駅から特定のターミナル駅までの所要時間(分)」、「京成本線ダミー」、「山 万ユーカリが丘線ダミー」、「東葉高速線ダミー」、「タイムダミー2007~2024(各年別)」、「山万ダミー」第二段階の高齢化率の分析には佐倉市市民課にて公表されている町丁別の高齢化率データを活用している。

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